とある木村知弘の大木のように（「この三年間で印象に残ったことを『一つ』書け。」と、言われてしまった。私には、『一つ』に絞ることなど、とてもじゃないが難しい。私にとって思い出とは、木の葉のようなもので、いくつも集まることで初めて意味を成すものだ。その中から一葉だけ抜き出すことは、美しい新緑の風景を無駄にするようで、どこかもったいなく思える。その鮮やかな木の葉は、私の周りに豊かさを与える。日々の小さな感動が小さな成長を生み、私の一部となっていく。そして私は、広く強く、根を張ることができる。今の私が在るのは、その根があるからで、根があるのは、葉が一枚も欠けることなく私の中にあったからだと思う。毎日ではなくとも、自らの成長を感じることがある。一日一日少しずつ、自分の感性が輝きを増している。私は卒業後も、自ら磨き、また、周りの人たちに磨いてもらった感性を、大切に育てていきたい。もし、それでも何か一つ印象に残った事を上げなければならないのなら、私は何よりも大切な「友人と過ごした日々」を選ぶ。目を瞑ってこの三年間を思い起こせば、浮かぶのはどれも友人の顔だ。私は、たくさんの友人に支えられて、今の形を保っている。今後、そのことを一片も欠かさずに、心にとどめておきたい。豊かな土に恵まれ、その栄養を自ら蓄えることで太く張られた根から芽が出ようとしている。たとえ、外界がどれほど険しくとも、その根を信じていたい。もし、再びこの故郷に帰る時が来るならば、我が幹に実らせた果実を誇ることができるように、恩をその身で返せるように、成長を続けていく。）